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介護処遇改善加算山梨県DX

処遇改善加算とは?2026年改定の区分・加算率【山梨県】

2026年6月改定で月最大1.9万円の賃上げが可能になった介護職員等処遇改善加算。山梨県を含む全国の介護事業者向けに、新区分Ⅰロ・Ⅱロの要件・サービス別加算率・職場環境等要件28項目・申請の流れを徹底解説します。

著者

髙山 滉平

髙山 滉平(たかやま こうへい)

ITコンサルタント / DX推進支援

「すべての企業に、DXという選択肢を」をモットーに、中小企業のデジタル化・業務効率化を支援。Webシステム開発からDX戦略の立案まで、現場に寄り添ったコンサルティングを行っています。大企業だけでなくすべての企業がDXを選択できる世界を目指し、中小企業の力を底上げすることを目標に活動しています。

処遇改善加算、あなたの施設は上位区分を取れていますか?

2026年6月、介護職員等処遇改善加算が大幅に改定されました。対象サービスが拡大し、生産性向上に取り組む事業所への上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)が新設。最大月1.9万円の賃上げが可能になっています。人手不足が深刻な介護業界で、職員の賃金水準は採用・定着に直結します。加算の仕組みを正しく理解し、取得できる上位区分を確実に押さえることが、今最も重要な経営課題の一つです。

この記事の情報は2026年10月時点のものです。 加算率・要件・届出期限は変更される場合があります。申請前に必ず管轄の都道府県・市町村にご確認ください。


介護職員等処遇改善加算とは

介護職員等処遇改善加算は、介護従事者の賃金を改善するために、毎月の介護報酬に一定率を上乗せする制度です。利用者から受け取る介護報酬が増加する仕組みのため、事業所の自己負担なく職員の賃金を引き上げられるのが特徴です。

2024年6月に処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算が一本化され、「介護職員等処遇改善加算」となった。2026年6月の改定では対象サービスの拡大と上乗せ区分の新設により、加算の拡充が図られた。

  • ●仕組み: 毎月の介護報酬に加算率(サービス・区分による)を上乗せして受け取る
  • ●財源: 介護保険から支払われるため、事業所の持ち出しなし
  • ●配分: 受け取った加算額は全額を介護従事者の賃金改善に充てる義務がある
  • ●前提: 処遇改善計画書を作成し、管轄の指定権者へ届け出ることが必要

2026年6月改定の3つのポイント

① 対象サービスが拡大

従来は算定対象外だった3つのサービスが新たに対象となりました。

新たに対象となったサービス加算率(区分Ⅰイ)
訪問看護1.8%
訪問リハビリテーション1.5%
居宅介護支援・介護予防支援2.1%

なお、福祉用具貸与・特定福祉用具販売・居宅療養管理指導は引き続き対象外です。

② 上乗せ区分「Ⅰロ・Ⅱロ」の新設

生産性向上や事業者間の協働化に取り組む事業所を対象に、上乗せ区分が新設されました。区分「イ」(基本)に加えて「ロ」(上乗せ)を算定することで、さらに高い加算率が適用されます。

③ 最大月1.9万円の賃上げ

今改定で実現できる賃上げ額は3階建て構造になっています。

3階+0.2万円定期昇給分

キャリアパス要件に基づく定期昇給の実施。人事評価・昇給ルールの仕組み整備が前提。

2階+0.7万円生産性向上の上乗せ

上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)算定事業所が対象。ケアプランデータ連携システムへの参加や生産性向上推進体制加算の取得が条件。

1階+1.0万円全員への基礎賃上げ

加算Ⅰ〜Ⅳを算定するすべての事業所が対象。介護従事者全員に月1万円相当のベースアップ。

▲ 合計:最大 月+1.9万円


加算区分と要件の全体像

2026年6月以降、区分は6区分(Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳ)です。

区分月額賃金改善キャリアパス要件職場環境等要件生産性向上上乗せ要件
Ⅰイ必要Ⅰ〜Ⅴ必要不要
Ⅰロ必要Ⅰ〜Ⅴ必要必要
Ⅱイ必要Ⅰ〜Ⅳ必要不要
Ⅱロ必要Ⅰ〜Ⅳ必要必要
Ⅲ必要Ⅰ〜Ⅲ必要不要
Ⅳ必要Ⅰ〜Ⅱ必要不要

2026年度は期中改定のため注意

2026年4〜5月は旧来の区分(Ⅰ〜Ⅳ)で算定し、6月以降から新区分(Ⅰイ〜Ⅳ)に移行します。加算率・届出期限も期によって異なるため、管轄の指定権者に確認してください。


サービス別加算率(2026年6月以降)

主要サービスの加算率です。上位区分ほど高い加算率が適用されます。

サービス種別ⅠイⅠロⅡイⅡロⅢⅣ
訪問介護27.0%28.7%24.9%26.6%20.7%17.0%
通所介護11.1%12.0%10.9%11.8%9.9%8.3%
特別養護老人ホーム16.3%17.6%15.9%17.2%13.6%11.3%
介護老人保健施設13.1%14.2%12.8%13.9%10.9%9.1%
認知症対応型共同生活介護17.0%18.4%16.6%18.0%14.1%11.7%

※ 表は代表的なサービスのみ。正確な加算率は厚生労働省の告示・通知をご確認ください。


3つの算定要件を詳しく解説

要件① 月額賃金改善要件

全区分共通で、処遇改善加算Ⅳを算定した場合に見込まれる加算額の1/2以上を、基本給または毎月支払われる手当(基本給等)の改善に充てる必要があります。賞与のみへの配分では要件を満たせません。

  • ●基準額: 加算Ⅳ相当額の1/2以上を基本給・毎月支払われる手当の改善に充てる
  • ●すでにこの水準を満たしている事業所は、新たな対応は不要
  • ●配分対象は2026年6月以降「介護職員その他の職員」に拡大。職種間の配分は一定のルールのもと事業所内で設定できる
  • ●配分計画は処遇改善計画書に明記が必要

要件② キャリアパス要件(Ⅰ〜Ⅴ)

職員のキャリア形成に関する制度整備が求められます。区分が高いほど満たすべき要件数が増えます。

キャリアパス要件内容
要件Ⅰ職位・職責・職務内容に応じた任用基準・賃金体系の整備
要件Ⅱ資質向上のための計画策定・研修機会の確保
要件Ⅲ経験・資格・評価等に応じた昇給の仕組み整備
要件Ⅳ経験・技能のある介護職員のうち1人以上が賃金改善後に年額440万円以上であること(一定の例外あり)
要件Ⅴサービス類型ごとに定められた介護福祉士等の配置要件を満たすこと

要件③ 職場環境等要件(6カテゴリ・28項目)

働きやすい職場づくりのための取り組みを、6つのカテゴリから選んで実施します。

入職促進に向けた取り組み

介護未経験者・他業種からの転職者の受け入れ、インターンシップ・体験入職の実施など。

資質向上・キャリアアップ支援

介護福祉士・認定介護福祉士等の資格取得支援、外部研修費用の補助、OJT体制の整備など。

両立支援・多様な働き方の推進

育児・介護休業の取得促進、短時間勤務・テレワークの導入、副業・兼業の容認など。

腰痛を含む心身の健康管理

腰痛対策のための研修・設備導入、メンタルヘルス対策、ストレスチェックの実施など。

生産性向上のための取り組み

業務改善委員会の設置・課題の見える化・5S活動・業務手順書の整備、介護記録ソフト・インカム・タブレット等のICT活用など。

やりがい・働きがいの醸成

ミーティングや多職種連携の機会づくり、利用者・家族からの評価の可視化、表彰制度の導入など。

「生産性向上」カテゴリは3項目以上が必要

他のカテゴリが2項目以上なのに対し、「生産性向上のための取り組み」カテゴリだけは3項目以上の実施が求められます。ICT導入は選択肢の一つですが、業務改善委員会の設置・課題の見える化・5S・業務手順書の整備など、アナログな取り組みでも要件を満たせます。LIFEへのデータ提出が必須というわけではありません。まず「すでにやっていること」を28項目と照らし合わせて棚卸しするところから始めましょう。


上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)を取得するための令和8年度特例要件

上乗せ区分は、令和8年度の特例要件として以下のいずれかを満たす必要があります。

令和8年度は以下ア〜ウのいずれかを満たすことで算定できます。

区分特例要件
ア)訪問・通所系サービスケアプランデータ連携システムへの加入+利用実績の報告
イ)施設系サービス(特養・老健等)生産性向上推進体制加算Ⅰ or Ⅱを算定+実績報告
ウ)共通社会福祉連携推進法人への所属

なお、ア〜ウは「令和8年度中に誓約申請し、年度内に取り組みを実施すること」が条件です。

令和9年度以降は要件が変わる可能性があります

令和8年度特例要件はあくまで経過措置です。令和9年度以降の本格要件については、厚生労働省の動向を随時確認してください。


加算額の計算方法

加算額は「介護報酬の総単位数 × 加算率 × 地域単価」で計算されます。

計算例(通所介護・加算Ⅰイ・1単位=10.68円の地域の場合)

項目数値
月間総単位数100,000単位
加算率(通所介護Ⅰイ)11.1%
加算単位数11,100単位
月額加算額(概算)約118,548円

この金額を職員に配分します。職員数・配分方法によって一人あたりの金額は変わります。加算額の計算・配分計画は処遇改善計画書に記載が必要です。


申請の流れ

  1. 現在取得している加算区分を確認する——毎月の介護報酬明細や体制届の控えで現在の区分を確認します。上位区分への移行余地があるか、要件を満たしているかをチェックします。
  2. 職場環境等要件の取り組み状況を棚卸しする——6カテゴリ28項目について、現在すでに実施している取り組みを洗い出します。「やっているけど記録していない」ものも多いため、まず現状を可視化することが重要です。
  3. 処遇改善計画書を作成する——加算区分・賃金改善計画・職場環境等要件の取り組み内容を記載します。計画書の様式は都道府県・市町村が定めたものを使用します。
  4. 指定権者(都道府県・市町村)へ届け出る——計画書と体制届を管轄の指定権者へ提出します。2026年6月以降から新たに算定する場合の届出期限は6月15日でした(次年度以降は異なる場合があります)。
  5. 実績報告書を提出する——年度終了後、最終の加算支払月の翌々月末日までに実績報告書を提出します。計画どおりに賃金改善が行われたかを報告する義務があります。

よくある誤解

「ICTを入れれば自動的に上位区分が取れる」は誤り

ICT導入は職場環境等要件「生産性向上カテゴリ」の1〜2項目に該当しますが、それだけで上位区分は取れません。キャリアパス要件・月額賃金改善要件も同時に満たす必要があります。また上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)にはケアプランデータ連携システムへの加入等の別途要件があります。

「加算は全額利益になる」は誤り

受け取った加算額に相当する賃金改善を、介護職員その他の職員に実施する義務があります。事業所の収益になるわけではありませんが、適切な賃金水準の確保→採用・定着率の向上→人件費の安定化という形で間接的に経営改善につながります。なお2026年6月以降は配分対象が「介護従事者」に拡大されており、職種間の配分は一定のルールのもと事業所内で設定できます。

「小規模事業所には複雑すぎて無理」は誤り

計画書の様式は都道府県・市町村が用意しており、社会福祉協議会や社会保険労務士への相談窓口も整備されています。取り組みとして「既にやっていること」を記録・整理するだけで要件を満たせるケースも多くあります。


山梨県の介護事業者が処遇改善加算と組み合わせるべき補助金

処遇改善加算の上位区分(Ⅰロ・Ⅱロ)取得には、ICT導入や生産性向上の取り組みが必須です。山梨県ではこのコストを大幅に圧縮できる独自の補助制度が整っています。

山梨県の介護ICT補助金(令和9年度の公募に備えて確認を)

山梨県が実施する「テクノロジーを活用した業務効率化事業費補助金」は、介護ソフト・タブレット・見守りセンサー等の導入費用を最大4/5(80%)補助します(上限最大1,000万円)。**令和8年度分の申請受付は2026年9月に終了しています。**令和9年度の公募に備え、山梨県社会福祉協議会 介護支援センター(TEL: 055-254-8680)へ早めに相談しておくことをお勧めします。

山梨県の制度活用場面補助率申請状況
テクノロジー活用補助金生産性向上カテゴリの取り組み推進最大4/5令和8年度受付終了。次回公募を確認
賃上げ・職場環境改善補助金処遇改善加算に上乗せした賃上げ10/10令和8年度分は申請期間終了

山梨県DXの文脈でいえば、介護施設のICT化は人手不足対策としても最優先課題です。処遇改善加算の上位区分取得 → 職員賃金の向上 → 採用・定着率の改善、という好循環を、次回の補助金公募に備えて今から計画しておくことが重要です。

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上位区分取得に向けたチェックリスト

  • 現在の加算区分を確認した(体制届・請求明細で確認)
  • 職場環境等要件28項目の取り組み状況を一覧化した
  • 生産性向上カテゴリで3項目以上の取り組みを実施している(or 計画している)
  • キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅴのうち、取得区分に応じた要件を満たしている
  • 処遇改善計画書を職員に周知している(周知義務あり)
  • 上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)の特例要件を確認した
  • 実績報告書の提出期限を把握している

まとめ

  • ●2026年6月改定で処遇改善加算は「月最大1.9万円」の賃上げが可能な制度に拡充された。
  • ●新設の上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)はICT活用・生産性向上への取り組みが鍵になる。
  • ●職場環境等要件の「生産性向上カテゴリ」は3項目以上の実施が必要で、ICT導入・LIFE活用・業務改善の整備が実質的に求められる。
  • ●現在の区分から上位区分への移行余地があるかどうか、まず現状を棚卸しするところから始める。
  • ●要件・加算率・届出期限は変更される。申請前に必ず管轄の指定権者に最新情報を確認する。

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DtechX Blog  |  2026-10-06

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